物価高騰で治安が悪化

 コロナの終息が見えて来て経済活動が活発になると思っていた頃、ウクライナ戦争が始まって、あらゆる物価の高騰が続いている。ガソリン価格は50%上昇、食料品なども実質20%以上の上昇ではないだろうか。インドネシアには、日本のような企業や国民を助ける交付金や支援金の制度が無い為に、中小企業は倒産するまま、国民は貧困生活に耐える毎日が続いている。

 プールした裏金を使い果たした企業は、倒産するしかない。元々、貧困層だった国民は、強盗などの犯罪を犯して現金を手にするしかない。中間層の生活にも変化が見られる。ジャカルタ市内のMRTの利用客が、燃料値上げ後に10%増加したと言う。対面を気にして、無理してでも格好をつけたがるインドネシア人にも変化が起きている。何とか、燃料代を工面して自家用車を使っていた人たちも、最近の物価高騰にはお手上げのようだ。安価な公共交通機関にシフトしている。

 私の妻(専業主婦・インドネシア人)の友人付き合いを見ていると、中間層の生活にも変化が見て取れる。週に何回か食事やお茶に出かけていたが、最近では出かける回数が極端に減った。自家用車を乗り回して、度々我が家を訪れていた婦人たちも鳴りを潜めている。明らかに、生活が苦しくなっているのだ。派手好きなインドネシア人が、何処まで耐えられるのだろうかと思っている。

 政治家は、具体的な物価対策や経済再生策も出さず、1年半後の大統領選挙の活動ばかりしている。最近は、物価値上げに反対するデモが増え、治安の悪化も懸念されている。貧困層や中間層の国民が、いよいよ食えなくなった時、インドネシアはどうなるのかと、心配している。

本当に、国のことを考える政治家が現れるのは、何時のことだろうか。