入管事務所が驚きの変化!

 外国人にとって、居住許可証などを取得するために、イミグレーション・オフィスとの付き合いは、不可欠である。今まで私は、エージェントを利用して様々な許認可を取得していた。ここ数年、入管事務所は職員の賄賂授受を防止するために、エージェントを排除するなどのクリーン・キャンペーンを実施してきた。諸手続きで入管職員とエージェントが手を組んで申請者の便宜を図り、賄賂を授受する構造が出来ていた。申請者も、書類の多少の不備は見逃してくれる、入管事務所への出頭回数が減る、短期で取得できるというメリットがあり、費用がかかってもエージェントを利用していた。

 友人の話によると、公務員の賄賂授受の禁止が大統領から厳命され、市民の通報による解雇などの規定が出来たらしい。それに伴って、入管職員の給与も大幅に増額されたと言う。税務署、市役所に続く、クリーン化の第三弾というところだろう。丁度、再入国許可 (Re-entry Permit) の期限が切れたので、自身で申請を試みた。ちなみに、私は永住許可証 (生涯有効で更新の必要はないが、5年毎にスポンサー等の確認のための報告書を提出する)を所持しているので、あとは再入国許可を取得していれば、日常の生活に支障はない。

 

 まず、所轄入管事務所のウエブサイトで、申請に必要な書類と費用を確認した。必要書類は、1.スポンサー(妻)からの申請願、2.スポンサーのKTP(IDカード)コピー、3.申請者のパスポートの本書・コピー、4.ITAP(永住許可証)の本書・コピー、5.申請者のKTPの本書・コピーとなっており、費用は1年有効で75万ルピア、2年有効で170万ルピアだった。

 上記の書類を持参して新築・移転されたボゴール入管事務所に行った。広い敷地に近代的な建物が立っており、外国人専用フロアー(2F)は広々として奇麗だった。職員の業務態度も良くなっている事を期待しながら手続きを始める。タッチパネルで自分の要件に合ったカテゴリーの受付番号を取得、呼ばれるまで待つ事10分。この日は、私の他に5~6人の申請者が居た。順番が来て、用意した書類を提出したが、不足書類があると言われた。応対した職員は、追加の書類を細かくメモして渡してくれた。追加の書類は、6.KARTU KELUARGA (家族証/住民票)の本書・コピー、7. BUKU NIKAH (婚姻書)の夫婦の本書・コピーだった。また、再入国許可の申請は、本人が出頭する事無く、スポンサーが出頭すれば良いのだと教えてくれた。スポンサーが健在で、本人との関係が継続されているか否かの確認が重要なのだ。

 翌日、全ての書類を用意して再び入管事務所へ行った。フロアーに入ると、前日に対応してくれた職員が手招きして直ちに対応してくれた。書類の本書とパソコンのデータを確認すると、即座に受理された。この間、10分。パスポートとITAPを預ける。返還は1週間後と言われた。そして、費用(175万ルピア)の請求書を渡され、帰宅する前に入管事務所の駐車場にある移動式郵便局(車両)で、支払いを済ませるように指示された。ウエブサイトに掲載された金額より5万ルピア高かったが、郵便局の手数料だと思いクレームはしなかった。移動式郵便局はオンラインされていたが、支払いは現金のみでカード類は使用できなかった。

 帰宅して2時間後、入管事務所から入金の通知と、入国許可証のハードコピー(QRコード付)がメールで送られて来た。システムとスピードの速さにビックリした。市役所の書類でも驚いたが、最近の官公庁の許認可書類は、発行者の署名・チョップがQRコードに変換されているようだ。入国許可証のハードコピーをパスポートに添付するように指示されているので、出入国の際に空港の入管職員はQRコードを読み取るだけでチェック出来るのだろう。

 

 自分自身で手続きをして感じた事。1.入管ビル内、フロアー毎に警備員が配置され、厳重に入場者のチェックがされている。2.フロアーに無料の飲料水・コーヒー・ティー等が置かれて、警備員がサービスしてくれる。3.対応する窓口の職員が親切になった。4.入管事務所内に会計窓口が無く、移動式郵便局から直接国庫に入金され、オンラインで各所とデータが共有されている。5.ウエブサイトの情報は100%正確でないので、事前に確認すると出向く回数が減る。

 官公庁の業務のオンライン化、システム開発は急速に進んでいるようだ。コロナ管理アプリのように先進国に勝るとも劣らないものがある。給与のベースアップと汚職の撲滅により、もっとクリーンな国になって欲しいものだ。