インドネシア女性との結婚

 インターネットの掲示板に、父親が突然にインドネシア人女性との結婚を言い出し、女性の家を改築する為の送金を日本にいる娘さんに頼んだ由。新妻は娘さんと同世代とか。娘さんが騙されていると感じて、掲示板に家の改築費用の相場などを訪ねたものである。娘さんは、結婚そのものがお金目当てと考えている。父親は、英語もインドネシア語も話せないらしい。

 私は、サラリーマン時代にインドネシアに赴任し、インドネシア人女性と結婚して30年以上暮らしているが、インドネシア人女性との結婚とお金の問題について考えてみたい。あくまでも自身の経験上からの考えである。

 まず言えるのは、投稿された娘さんの父親は無謀すぎると思う。言葉が話せないのに、気合だけで意思疎通が出来るはずはない。文化・風俗・習慣などを理解していないが、日本的な感覚や捉え方で物事を判断するという事は、この上なく危険である。

 結婚については、ほぼ、お金目的と考えて間違いないと思う。一般的に日本人はお金を持っていると思われている。お金を持ってもいないのに、親子ほど歳の離れた結婚など普通は考えないだろう。ましてや、出会ってから数か月での結婚など。私が結婚する時に、お金の為かと妻に尋ねた事がある。妻曰く、”お金は無いよりあった方が良い”との返答で、真意は分からなかった。私は駐在時代の経験・知識から、結婚してもお金の管理は自分でする事にしている。自分が納得しない出費は、断固として拒否する。従って、”ケチ”と言われているが、お蔭で30年以上、結婚生活が続けられている。結婚するという事は、インドネシア社会に入るという事で、日本人には想像もつかない国民性・文化・習慣などの違いが負担になって来る。

 私が過去に負担した費用、現在生活するために必要な費用を列記する。

 1)結婚式の費用(男性側が100%負担するのが基本)「5000万ルピア」

 2)住居・車の購入費「5億ルピア」「4億ルピア」

 3)親戚の就学費用(大学2名、高校4名)「1億7000万るぴあ」

 4)実家居住地のモスク改修費用寄付「3000万ルピア」

 5)レバラン時等の貧困層への支援「200万ルピア/回」

 6)居留証(KITAP)取得費用、再入国許可取得費用「3000万ルピア」「200万ル

   ピア/回」

 7)親戚への援助(返済されない借金)「計2億ルピア」

 8)妻の実家改築費用「2億ルピア」

 これらの費用は、発生した当時のもので、現在の貨幣価値では数倍になるものがある。私は、大した預金を持っていたわけではないが、25年以上も当地に駐在し、海外手当を支給されており、お酒を飲まない、食道楽も無かったので、サラリーマン時代の生活費には余裕があったので、住居や車の購入も出来た。

 インドネシアは、貧乏人に優しく、金持ちには厳しい国なので、金持ちと思われている我々外国人には、容赦のない搾取が企てられているように思う。一旦、インドネシア人社会に踏みこむと、当然のように請求される寄付金や費用が発生し、断り切れない状況に追い込まれるのである。貨幣価値や食費だけを比較して、日本より安価に生活できると考えるのは間違いである。外国人が居住するなら、日本と同額の生活費がかかると思わなければならない。

 また、インドネシア人には、貯蓄の観念が無く、金持ち自慢なのか相互扶助精神なのか不明であるが、手持ちのお金をあるだけ使ってしまう人が多い。従って、インドネシア人女性と結婚すると、妻の親戚縁者、一族郎党の全ての者を養う羽目になるのが落ちである。我々から見て、中流以上の女性と結婚すればそのような事は無いかも知れないが、恋愛途中でそのような条件を考える余裕があるだろうか。

 歳を取り、国民性、文化、感性の違いが気になり始めると、ふと自分は愛情で結ばれたのか、お金を目当てに結ばれたのか考える時がある。