名前の書き方

 持っている預金口座と同じ銀行が発行するクレジット・カードを持っている。銀行口座のe-bankingアプリが更新された後、今まで郵送されていたクレジット・カードの請求書が届かなくなった。友人に聞くと、手続きなしで新アプリにはクレジット・カードの項目も表示されていると言うので、さっそく銀行に出向き原因を調べて貰った。

 近所の銀行の支店では、クレジット・カードの取り扱いは部門が違うので、直接原因の検索が出来ないとの事。原因調査の要請書を本社に送り、さらにカード部門に引き継がれるので、時間が掛かると言われた。まあ、インドネシアなので仕方がないと思いながら承諾して帰宅した。

 翌日、銀行(支店)の担当者から連絡があり、口座開設時のデータとカード作成時のデータがマッチしないので、新規の全てのデータを更新する必要があると言われ、パスポート、居住許可証、住民票、IDカードなどのコピーを再提出した。その後待つ事、2週間。以前としてアプリにカードの表示が現れない。銀行の担当者に連絡すると、コロナに感染してしばらく対応できないと言う。

 しびれを切らした私は、別の支店にいる知り合いの銀行員を訪ねた。この行員は、以前口座のトラブルがあった時、即時に解決してくれて賢いと評価していた女性だ。外国人の私にも、分かりやすく説明してくれる。彼女は、口座とクレジット・カードを暫く眺めた後、本社のカード部門に電話して何かを確認していた。そして、口座の名前とカードの名前が異なっていることが原因だろうと言った。

 銀行口座は、ファースト・ネーム、ファミリー・ネームの順に記載されており、クレジット・カードは、ファミリー・ネーム、ファースト・ネームと記載されている。相互の名前がマッチしないので、基本となっている口座のe-bankingアプリシステムに接続されないのだろうと言う。一つでも入力データに違いがあると、同人物の所有とは見なされないらしい。

 友人の行員が言うには、銀行取引での身元証明は唯一パスポートであり、パスポートに記載されている順序・アルファベット表記と一致していなければならないとの事。私の居住許可証、住民票、IDカード等は、ファーストネーム、ファーミリーネームの順で記載されている。私自身、海外に出てからは、どんな書類でも名前はファースト・ネームから書くものだと思い込んでいた。改めて、パスポートを見てみると、ファミリー・ネームが先に記載されていた。今まで、私は、色々な書類でパスポートと同様の記載との注意書きがある時、アルファベット表記の間違いだけに囚われていた。今まで、記載順序の間違いがあったのだろうが、よく指摘されないで来たものだ。

 20年以上も前から使用している銀行口座の、名前の記載が間違っていたとは思いも寄らなかった。口座の開設時の銀行の落ち度だろうと指摘すると、友人の銀行員は、日本人の表記の仕方が変わっているからと笑っていた。早速、口座の氏名の記載を修正して、問題は解決されたが、解決までに1か月以上も費やした。やっぱり、インドネシアだ。