爆発的な感染拡大とワクチン接種

 インドネシアにもデルタ株が入って来て、コロナ感染者が爆発的に増加し、ジャワ州では都市のロックダウンが続いている。日々、感染者数の記録が更新され、今では4万人弱の増加である。1か月前の5倍増、何処まで増え続けるのか、恐怖と不安の毎日を過ごしている。

 社会行動規制が徐々に緩和され、安心感からか国民のマスク着用がルーズになって来たところに、デルタ株が入って来て爆発的な感染拡大になったようだ。大手企業は感染防護対策を真剣に行っているが、中小の企業や一般の商店等では、対策がなおざりであった。街中の一般市民でマスクを着用している者は、50%以下だと感じていた矢先の感染拡大である。元々、インドネシア人は利己主義で、自分さえ良ければ良いと言う人が多く、モラルや公共心に乏しいので、日本人の私には理解できない思想や行動がある。他人に移してはいけないと考える人はおらず、自分勝手に大丈夫だと考えている人が多い。

 行動規制や防護策を守らせるには、大統領令や大臣令を発出して、軍や警察に徹底して違反取り締まりをさせる必要があるが、政府は経済への影響を懸念して、今まで発令しても取締りをせず野放しにして来た。ロックダウンが始まって、取り締まりを始めているが、既に手遅れで、感染拡大に歯止めが掛からない状態になってしまった。医療崩壊が始まり、入院も出来ずに自宅療養中の死亡者も急増している。ジャカルタ近郊に駐在する約1万人の日本人も、300人以上が感染しており50名以上が入院できないらしい。死亡者は30名近くになる。明日は我が身、恐怖の毎日を送っている。

 予算不足からワクチンの確保が十分でないことから、ワクチン接種も中々進んでいないようだ。医療従事者に優先接種した後、年齢や基礎疾患の有無に関係なく、抽選制で接種を行っているが、1回当たりの接種者数が少なく、いつ接種出来るか目途が立たない状況である。また、インドネシアでは通常中国製ワクチンが使用されているが、2回接種済みの医療関係者300人が感染し、30名が死亡したというニュースが流れるなどして、効果を疑問視する世論が広まっている。政府が発表しない副反応や接種ミスなどの情報が、ネットを通じて拡散し、ワクチン接種に否定的な人が多いのも問題である。

 日本から、100万回分のアストラゼネガのワクチンが支援されたと聞き、知り合いの医師や病院に問い合わせたが、何処にいったか不明。多分、政府関係者が確保しているのだろうという事だった。有り得る話である。現在の危機的な状況を考えると、躊躇していた私も接種しようと思っているが、いつになるか分からない。中国製ワクチンでも、打たないよりはいいだろう。