コロナ禍

コロナウィルスの感染が始まって1年以上経過した。各国とも変異株が猛威を振るい、再拡大が続いている。インドネシアでは、当初こそ政府が「緊急事態宣言」を発令して、社会活動を制限したが、個人の防護対策や自粛などの対応が甘く、新規感染者数の減少が見られなかった。日本の様に事業者への支援が無いので、対策が徹底しないのも致し方ないのだろう。いつの間にか、コロナ対策の実行を政府から地方自治体、さらに自治会に任せてしまっており、責任転嫁としか思えない。ピーク時の半分程度の新規感染者数になったまま、それ以上の減少傾向はみられず、毎日5千人の新規感染者が出ている。この状態では、何年かかるか分からないが、ワクチン接種が進まないと収束は来ないだろう。

 

先日、ボゴール県やブカシ県を通行中に、道路沿いの店舗の閉店が多いのに驚いた。半年前までは、ぽつぽつと閉店・休業している店舗が目につく程度だったが、最近では道路沿いの店舗の3割~5割が閉店・休業している。殆どが飲食店である。インドネシアでは、朝・昼・晩の食事時間の概念が無く、お腹が空いた時に食事をする人が多い。従って、街中にある飲食店は1日中開いており、誰かしら客が入っているので、街が活気に溢れている。しかし、それらの飲食店が閉店しているので、街が死んでしまった。飲食店の経営者は、何処に行ったのだろう。どうやって生計を立てているのだろうと心配になった。

 

朝夕の通勤・通学時間帯に、街から学生たちの姿が消えて1年経とうとしている。以前は、朝夕の通学時間には、路線バスは学生たちで満員、スクールバスや送迎バスも多く走り、道路が大渋滞になっていたのだが。最近は、通勤者だけなので、以前の様に渋滞が無く少し寂しい。通勤者も在宅勤務が増えているので、毎日通勤する人も減っているようだ。今、学校は全てオンライン事業になっているらしい。国営放送のテレビも教育番組が増えた。しかし、インターネット環境の悪いインドネシアで、本当にオンライン授業が出来ているのだろうか? 地方の子供たちはどうしているのだろうか?

パソコンやタブレット端末を所持し、自宅にインターネット回線を持っている家庭がそれ程多くあるとは思えない。子だくさんのインドネシアの家庭で、子供数だけ何台もパソコンを持てるとは思えない。一部の裕福な家庭ではオンライン授業は可能かも知れないが、中流以下の家庭では難しいと思う。日本でさえ、オンライン授業が出来ない家庭があるというのにである。モールに行っても、子供や学生たちの姿を見ないが、皆自宅で勉強しているのだろうか。

 

インドネシアでは、全ての小・中・高で進級や卒業する際に国家試験が行われ、合格しないと留年になる。この国家試験はどうなっているのか? どう評価して通信簿を作成しているのか? 世界中のオンライン授業を実施している国の、学生たちの勉強不足、知識不足が、将来の世界経済に影響するのが心配だ。コロナ禍憎しである。