まともな会社

 インドネシアで、法令を遵守し、会社の就業規則等を忠実に実行している会社に遭遇したことが無かった。当地独特の慣習や国民性の違いから、この国では仕方がないことだと思っていたが、「まともな会社」らしきものを発見した。

 娘が勤めるココナッツ油を扱う会社である。大手タバコメーカーのグループ企業で、娘が採用された時には、安定した企業だと思って喜んだ。何しろ、この国で縁故も無く、推薦状もない状態で、新聞広告を見て応募して試験を受け、採用されたのだからラッキーとしか考えていなかった。

 週休2日制、月曜日から金曜日まで毎日8時~17時までの勤務だ。娘はボゴールの家を毎日朝6時に出て、ジャカルタまで2時間かけて通っている。帰宅は、夜9時頃になる。通勤に時間が掛かるので、いつまで続くのかと心配していたが、余り苦にせず通勤しているので遣り甲斐のある会社かもしれない。娘は、税務を担当している。

 コロナウィルスが流行し始めてから、会社の対応がしっかりしている事が分かった。流行当初に政府の指示が出ていない時期から、PCR検査を定期的に始めていた。土曜日に社員を指定場所に集合させて受験させるのだ。コロナが流行して2年以上経った今も、継続されている。また、ワクチン接種も個人での対応であったが、有給休暇扱いで副反応のある場合には、休養日も取得できた。

 流行が蔓延して、政府が「社会行動制限」を発令し、出社率を0%、50%、75%と規制した際も、忠実に規制を守り、就業のシフトを作成してオンライン業務や出社率に準じた対応を続けている。勤務時間外の急な政府規制の強化にも迅速に対応し、翌日のシフトを変更して携帯電話を通じて会社から通達が来る。

 このような「まともな会社」を知り、インドネシアも捨てたものではないと、嬉しく思っている。娘の同僚が時々遊びに来るが、皆、シャキットした優秀そうな男女である。厳しい管理の会社で鍛えられているためかも知れない。娘は会社勤めが楽しいらしく、まだ結婚する気はなさそうだ。