美味しいお米が手に入るようになった

 インドネシアは、日本のお米が輸入できないと聞いた事がある。理由は知らない。唯一、カリフォルニア米がシンガポール経由で輸入されていた。現地米はパサパサしていて、オニギリにしたり、焼き海苔で食べる事が出来ないので、長年、カリフォルニア米を食べていた。価格は非常に高かった記憶がある。

 暫くして、”こしひかり”が販売されるようになった。インドネシア国内の高地で、日本人農業者が作っているのだと思う。日本人が関与している食品は、ラベルや包装を見れば分かる。正確な日本語表記がされているのだ。お米の品質は、日本国内のものにかなり近いが、やはり価格が高い。

 最近になって、”SUMO”(すもう)という銘柄が販売されるようになった。”こしひかり”程ではないが、すこし水を多めにして炊けば、モッチリ感もあって十分美味しい。価格は、100円/KGとそれ程高くないので、うれしい。因みに、現地米の2倍である。

 インドネシアの人達は、余り白米の品質に拘らないが、スーパーでは”SUMO”が人気商品になっている。日本食レストランで食事する人が増え、ご飯(白米)の美味しさが料理には不可欠だと気づいたのだろう。

 お米の他にも、里芋、ごぼう、レンコン、こんやく、納豆など、海外で日本の品質に負けない食材が増えている。感謝!感謝!

  

 

美味しい食パンを探し続けて30年

 私の朝食は、食パン一切れとコーヒー一杯だ。もう50年以上も続けているので、食パンとコーヒーには拘りがある。食パンはちょっと厚めの6枚切り、ふっくら、しっとり、きめの細かいものでないと満足しない。

 インドネシアの現地メーカーの食パンは、生地が荒く、パサパサしていて旨くないので、よっぽど困ったとき以外は食べない。最近では、日本の大手メーカーが現地のメーカーと提携して、以前に比べるとかなり品質の良いものを販売しているが、それでも日本で売っている食パンに比べると旨くない。トースターで焼くと、カサカサになってシットリ感が無くなってしまうのだ。

 日本を含む海外の有名なパン屋が進出しているが、菓子パンに注力していて食パンが美味しい店が殆ど無いのが残念だ。新しい店がオープンする度に、必ず試食してみるが、いつも期待を裏切られている。

 そんな中で、気に入って20年来食べ続けている、美味しい食パンを売る店が一軒だけある。日本食スーパー内にある”KOMUGI”というパン屋だ。開店当初、日本人の職人が原料に拘って作っているのだと聞いた。確かに、小麦粉の匂い、味が違う。値段はちょっと高めだが、5枚切り、6枚切りなど、日本人の好みに合わせた品揃えが有りがたい。

 ジャカルタ市内に数店しかないので、居住するボゴールから用事があってジャカルタに出かけるときには必ず買って帰るようにしている。”KOMUGI”の食パンが手に入らない時には、”HOLLAND BAKERY”の食パンで代用している。そこそこのシットリ感がある。この店は、店舗が多く入手が楽である。

 海外生活で、日本と同等な食品を要求し、食パンに拘り続けているのは我儘で贅沢だろうか。

 

入手が困難な日本食材がある

 ジャカルタには、日系モールや日本食品スーパーが幾つかあり、現地スーパーでも日本食材の輸入品を販売しているので、随分と便利になった。自宅では自分で日本料理を調理する。調味料には拘りがあって、とんかつソースはブルドック、マヨネーズはキューピーと決まっているが、これらは何時でも入手可能なので嬉しい。しかし、入手が困難な食材や調味料がある。需要が少ないので、輸入されないのだろうが、一時帰国の回数も減り、調達できないのでストレスが溜まってきた。

 

入手困難な食材・調味料

1.上白糖

 以前は、日本食品スーパー(パパイヤ)に有ったが、最近は無い。現地の砂糖は、グラニュー糖なので、熱を加える煮魚等には問題なく使えるが、ナマス等の酢との調合が出来ない。

2.青海苔

 私は、お好み焼きが好きで、月に何回か食べる。お好み焼粉、お好み焼きソース(おたふく)、鰹節は入手可能だが、青海苔の振りかけが無いので、何か物足りない思いをしている。たこ焼き粉、たこ焼きソースも売っている。

3.わさび漬け

 もともと販売されていないのだが、数年前に、丸福という日本食レストランのメニューにあるのを発見して食して以来、味が恋しくなると食べに行く。いつ行ってもあるのが嬉しい。店に行った時には、お持ち帰りをさせて貰っている。

4.イカの塩辛

 以前は、日本食スーパー・パパイヤで自家製の塩辛を販売していたが、最近は見なくなった。

5.南高梅の蜂蜜漬け

 普通の梅干は、パパイヤで時々売っているが、南高梅の蜂蜜漬けは無いので、一時帰国時に調達する。

 

入手可能な意外な食材・調味料

1.さといも

 現地産。粘り気が弱いが合格点。

2.レンコン

 現地産。味が淡白。

3.山芋

 現地産。とろみが弱いが合格点。

4.ラー油、みりん、料理酒

 輸入品。

 

 以前に比べると、色々な物が入手可能になり食生活が楽しめるようになったが、やはり、日本から輸入された食材や調味料が日本の味を思い出させてくれる。

インドネシアが先進国になれない理由

 誰しも、自分の住んでいる国が発展する事を願っている。友人に居住する国を聞かれて、インドネシアと答えても、羨ましいといわれる事はまず無い。皆の認識は、発展途上国或いは後進国である。以前は東南アジアでもトップクラスの発展振りだったが、今ではマレーシア、タイ、ベトナム等が上位にある。

 

 何故、インドネシアが先進国になれないのか、東南アジアの国のランキングが下がったのか考えてみた。

その理由は、

1.公務員の義務感、責任感の欠如

2.全てのプロセスにコミッションを要求する慣習

3.法令や規則を遵守しない

4.自分本位で他人の事を考えない

5.計画性の無い、場当たり的な性格

6.競争心、自立心、向上心の欠如

 

 資源が豊富で基本的に心が優しい国民性の国なので、努力すればもっと豊かな国に慣れるのに残念に思う。先進国は無理でも、東南アジアではシンガポールに次ぐ国になって貰いたい。

ボゴールで懐かしい味に再会した

 ボゴールにも本格的な日本食レストランが出来始めた。今までは、日本の店名を付けた、日本食もどきの店が多かったので嬉しい。大抵は味が少々おかしくても我慢して食べているが、時に、無性に日本の本当の味が恋しくなる。ジャカルタには、日本人のシェフが居て、本物の日本食の味を楽しめる店があるが、ボゴールには今まで殆ど無かった。

 先日、外出時に度々目にしていた”京都亭”という店に行ってみた。数年前に開店していたが、店構えが貧相だったし、”もどき”の店だと思い込んでいたので入った事はなかった。インターネットの駐在員の口コミに旨いとあったので、試しに行ったのだ。内装は日本の居酒屋風、こじんまりとした店だ。昼前の早い時間に行ったので、まだ準備中であったが、インドネシア人のオーナーシェフ(Mr. アンディ)と話しながら待っていた。

 話してビックリ。なんとジャカルタのアパートに住んでいた頃に、よく通っていたレストラン”さくら”の厨房に居たと言う。”さくら”は、日本人が経営するリーズナブルで美味しい店だった。私は、もやしラーメンが気に入っていて、週に1~2回は通っていた。夜は接待でお客さんを度々連れて行った。7~8年前に私がボゴールに転居した頃、”さくら”は移転してしまったので、その後もやしラーメンを食べる事が出来なくなった。”さくら”が移転してまもなく、Mr. アンディは定年退職し、故郷のボゴールに”京都亭”を開店したらしい。ジャカルタの老舗の日本食レストランである「寿司天国」や「寿司錦」で修行し、ジャカルタのにぎり寿司コンテストで優勝した事もあるらしい。(当時の写真が店内に飾られていた。)

 久しぶりに”もやしラーメン”と”握り寿司”を食べた。嬉しかった。”さくら”で食べた味そのままだった。”さくら”に一緒に行っていた妻(インドネシア人)も、味が以前のままで変わってないと喜んでいた。変わらない日本食の味を守っているシェフには頑張ってもらいたい。週末は、ゴルフ帰りの日本人駐在員が多く来店しているらしい。

 

中国が建設を進める高速鉄道の問題点

 日本が提案し、受注が確実視されていた案件を、横取りする形で受注した中国。用地買収の遅れや施工計画の不備により、完成時期の遅延や予算不足などが発生している。開業しても40年以上は黒字転換にならない。この間、毎年国家予算を投入する事になり、国家の大きな負担になるのは目に見えている。G20の会議に併せて計画された、周近平主席を招いての試乗セレモニーが中止になり、ジョコ大統領も面目丸つぶれとなった。現在の進捗率は80%、しかし、2023年6月には開業させると言っている。日本の常識的な試運転期間から考えると、とても開業できる工期ではないが、ここはインドネシア、なし崩し的に開業の形に持っていくだろう。開業後のトラブル発生は必至であり、安全性の保証も担保されない。

 

 そもそも、高速鉄道計画は、安部元首相がインドネシア訪問の際に、手土産げとして借款の話しを持ってきたらしい。企画に関与したコンサルタントに聞くと、もともと採算の取れる計画では無かったと言う。インドネシアの経済状況等を考えても無謀な提案だったようだ。私も、在来線さえ十分整備されていないのに、巨額の費用を投入してまで部分的・短距離の高速鉄道を建設する意味があるのかと、思ったものだ。

 

 中国は、潤沢な資金をあらゆる国に投資し、負債の回収が出来なくなると、色々な権益を取得するという戦略で海外進出を続けているが、日本政府にはそのような真似は出来ない。何故なら、国民性、気質が違うからだ。借款を付与する相手国の国民性、気質を十分理解した上で、正論が理解される範囲内で支援するしかない。インドネシアには国を思う政治家はいない。自分の利権のためにしか働かない。そのような条件下で、立案・提案するプロジェクトを形成するのは、非常に難しいと思うが、ODAを継続するためには、やらねばならないだろう。JICAは、優秀な民間のエンジニアを雇用し、まずは政治的な意向を入れないで、プロジェクトの企画に取り掛かるべきと考える。

 

 私は30年以上、インドネシアで鉄道工事に携わってきた。日本政府の援助で、本当に必要なプロジェクトが進んで欲しいと願っている。

あっと驚く、インドネシアの常識と慣習

 インドネシアに30年以上住んで、妻(インドネシア人)や他のインドネシア人の行動を見てきたが、日本人的に考えると理解しがたいものがいくつかある。年を重ねるごとに、気にかかるようになった。

 

1.床掃除

 何人も女中さんを使ったが、最初はモップかけから始まり、床が乾くのを待って箒で掃き掃除をする。女中さんの殆どがこの順序である。日本人の感覚では、掃き掃除の後にモップがけをすると思うのだが、そうではない。埃やゴミを床に擦りつけているのではないかと思ってしまう。

 

2.ドアの開け閉め

 車のドア、部屋のドアの開け閉めが荒い。かなりの音、衝撃がある。部屋のドアや戸棚の開き戸などを、きちっと閉めない。カチッと本来の閉まる位置まで戻さず、数センチ開いた状態で放置している事が多い。虫や埃が侵入して不衛生と思うのだが、無頓着。

 

3.食事時間の観念が無い

 朝・昼・晩の食事時間が決まっていない。お腹が空いた時が、食事時間である。食堂は1日中営業しているところが多く、どんな時間でも利用客がいる。主食・副食・間食の観念も無く、ある物やその時に食べたい物を食べる。栄養管理などは眼中に無い。従って、偏食によるデブが増加している。会社の業務机の上には、スナック菓子の袋が置かれている。

 

4.休日を目一杯過ごす

 翌日の体調や仕事の予定を考えず、休日は夜遅く疲れ果てるまで遊ぶ。イスラム教徒には、”自分は神に生かされていて、明日の生死も神のみぞ知る”と考えている。明日の事はわからないのだから、今日を楽しく過ごそうと目一杯遊んでしまう。月曜日の欠勤率が高い。

 

5.話し好き

 毎日、同じ人と会っても、兎に角話しが弾む。カフェ、レストラン、自宅で何時間もベチャベチャ話している。お互いの家庭内の出来事を洗いざらい話している。朝起きてから寝るまでの出来事を話している。他人事に口出ししてあれこれ言うのだが、わが身に問題が発生するとパニックになってしまい、今まで言っていた事の信憑性が疑われる。

 

 自由奔放、自然に生きていると言えば聞こえがよいが、もっと効率的・経済的にメリハリをつけて生活したら良いのにと思ってしまう。