ボゴール市役所の対応が素晴らしい

 先日、Kartu Keluarga(戸籍謄本)の記載事項を修正して貰う為に、市役所の人口・住民登録サービス事務所(直訳)へ行った。出生・婚姻等の戸籍やKTP(IDカード)を扱う、日本の役所の住民課が独立したような事務所で、市内の区毎に設置されている。

 インドネシアでは商取引において、個人の身分を証明・登録する際に母親の名前がパスワードとして使用される。銀行との取引でKartu Keluarga(戸籍謄本)を提出したが、本来記載されなくてはならない父・母の名前の欄が空欄になっていた。銀行からの指摘で、父母の名前の明記とパスポート番号の修正をする事になった。

 外国人は、イミグレで滞在許可を取得すると、個人データが市役所と共有され、Kartu KeluargaやKTPが発行される。私のKartu Keluargaを作成する際に、故意かミスかは分からないが、父母名の記載を忘れた(?)らしい。KITAP(滞在許可)とKTP(IDカード)の取得は、プロセスに時間が掛かるので、エージェントに依頼して取得した。今回は、記載事項の追記・修正という事で、自身で挑戦した。そして、たまたま保管していた日本の戸籍謄本とパスポートを持って、市役所のサービス事務所へ行った。

 小綺麗な事務所は、窓口が9か所あり、受付番号順に呼ばれる。コロナ対応で役所業務が縮小される中、この事務所は職員もフル稼働、コロナ対策もしっかりされており、驚いた。順番が来るまでの待ち時間、屋外に出て喫煙していたら、役所の職員から話しかけられた。なんの用事で来たのか?、コーヒーは飲まないのか?、やけに馴れ馴れしい”おっさん”だと思った。15分くらいして、自分の順番が来て所定の窓口に出向く。

 30代の男性職員が対応してくれた。要望を説明し、日本の戸籍謄本とパスポートを提示すると、そばに居たさっきの馴れ馴れしい”おっさんと”と話している。話し終わると、”おっさん”が近寄ってきて、”やあ、日本人だったのか?、インドネシアには長いのか?、ハイ!、分かりました!」等と訳の分からいない事を言い出した。適当に応答していると、”おっさん”が男性職員に新しい書類を作るように指示して、どこかへ消えた。男性職員に聞くと、”おっさん”は事務所長で、始終、事務所内を巡回しているのだと。

 新しい書類は、10分ほどで手にすることが出来た。以前は、受領まで数日掛かり、手数料を取られたのだが、今は即時発行され、全て無料。変わりように驚いた。帰途、待合室の電光掲示板に、”素早く対応、全て無料”と表示されているのが目に入った。また以前は、日本同様に、書類ごとに手数料が決められていた。何故止めてしまったのかと、同行してくれた友人に聞いた。友人曰く、「手数料を取ると、それに上乗せして小遣い稼ぎを考えるが、全てを無料にすると全く金銭の授受が無くなるので、不正を防止出来る。」「事務所長が所内を巡回しているのは、所員とのコミュニケーションというより不正防止のためかも知れない。」

 ボゴール市の取り組みにエールを送りたい。少しづつだが、クリーンになっていく行政サービスを見て、嬉しくなった。