耳が遠いと言われるが

 70歳を過ぎてから、耳が遠くなっているのに気が付いた。若い頃から、騒音の激しい建設業で仕事をして来たのが影響しているのだろう。現役中の会社の定期健診でも、聴力は必ず再検査となった。一般の人より、難聴が進むのは覚悟している。

 聞こえているのかと、話しかけては腹を立てていた妻(インドネシア人)も、今は文句を言う事は無いが、話し声が大きくなった。私が考え事をしている時に、いきなり大声で話しかけるので、びっくりする事が多々ある。元々、インドネシア人は甲高い、大声で話す人が多く、内緒話が出来ない人達である事は理解している。

 実は、妻との会話の殆どは聞こえているし、理解出来ているのだが、前触れも無く突然、思いもかけない話題を振られ、会話の意図や経緯を考えてしまい返事が遅くなる。そうすると、”つんぼ”と言われてしまうのだ。確かに、高音のキンキン声や、超低音のボソボソ声は聴きずらくなって来た。テレビの音量も大きなって来た。恐らく、会話に反応する脳の反射神経も鈍って来て、咄嗟の状況判断が出来なくなったのだろう。

 ”つんぼ”と言われて腹を立てていたが、今はくだらない聞きたくない話は、聞こえないふりをして会話を流している。以前は、インドネシア訛りの英語を聞いても、咄嗟に意味を理解するべく脳が反応していたが、今は反応に時間がかかり考える事で疲れてしまう。徐々に妻との会話が減っているが仕方が無い。

 若い頃には我慢出来たり、努力したりしていた事が、歳と共に出来なくなっているのは少し寂しい。